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平成24年 新年のご挨拶

年頭に当たり

年頭を寿ぐ挨拶に、月並みの常套句が憚られる新年となりました。しかし今年ほど祈る気持ちが切なる年はありません。遅々と進まない被災地の復旧復興、原発でふるさとを離れ、いつ帰れるか全くめどの立たない人々。今年こそは復旧復興がどんどん加速され、ふるさとを離れた人々が一刻も早く帰れる今年であってほしいと願わずにはいられません。大智禅師は「新年の仏法如何」と問われ、何も言わず、ただ窓外を指さしたという。言句尽くしがたい深い心境地があったのでありましょう。私は単に無学非才ゆえなのですが、被災された人々を思うとき、躊躇し逡巡して意を尽くす言葉が見つからないのであります。ただただ私たちの願いが叶って、希望と喜びに満ちあふれる明るい年になってほしいと祈るばかりです。

さて、昨年の世相を表す一字は「絆」でありました。日本いや世界が東日本大震災に対してさまざまな支援援助活動をしてくださいました。その多くの国や人々の、国と国、人と人の良き関係や繋がりを「絆」の一字で表していると思います。想えば前宗務総長渕英徳老師が掲げたスローガンが「絆」であったことを思い出しました。正確には「深めよう み佛の絆を」でした。宗門がいち早くみ仏の教えをよるべとして、人々の共生きによる安寧を願ったスローガンを教化方針に掲げられたことは、(功を奏したかどうかわかりませんが)先見の明、大であったと思っております。

あの大震災の荒波をくぐり抜け、お蔭様で私たちも新しい年を迎えることが出来ました。しかし、宗門内外の難問は山積しております。特に全国トップレベルの高齢社会と人口減少の秋田県。これは秋田県宗務所のみならず我が宗門にとりましても大変な問題であります。寺院の合併や廃寺。それに伴う宗費等の経費に関すること。宗門は近々に大きな変革を思慮しねばならないでしょう。さらには直葬などと言われる宗教儀礼の軽減化された葬式。都会で始まり最近地方でも急速に進行しております。将来的には宗教抜きの葬送になるかも知れません。この流行も寺院にとりましては非常に危うい問題であります。将来、子供(徒弟)に「後を継いでくれ」と自信を持って言えるのか。宗門の将来は決して明るい展望とは言えません。「それはお前の杞憂だ」と笑い跳ばしてくれる人がいれば有り難いのですが。

新年早々暗い話しになってしまいましたが、「成さねばならぬ」の思いを深く心に秘めて、被災された人々の今年に賭ける思いを我が思いとして一生懸命頑張る所存であります。何とぞご教導ご法愛賜りますようお願い申し上げます。